2010年 09月 16日 ( 1 )

被爆ピアノとともに

被爆ピアノは丁寧に愛情を込めてtunedされその機能を発揮できるように
整えられているのが実際触れてみてよくわかりました。被爆したピアノを
こんなに鳴るようにするのは大変なことだったのじゃないかと感じました。
ただ実際に本番になると、早弾きをしたり、トリッキーなコードを使ったり
テンションのきついコードを弾こうとすると、反応がないというか響かない鍵盤が
ありました。弾きながらどの鍵盤の鳴りがいいのか、どの組み合わせがいいのか、
どこをあえて弾かない方がいいのかを探って、このピアノのいいところと
僕のいいところを二人三脚でえいほっえいほっと出し合いながらひとつのエンデイングに
なだれこんだかんじでした。
壊れ物のようなフラジャイルな音の鍵盤もあったしペダルを踏み過ぎると
音が濁ったりするところもありました。
とても一口では語りきれない深い味わいというか、歴史があるというか、こちらが
覚えたてのテクニックでねじふせようとしてもそんじゃそこらじゃかなわない、そんな
迫力でした。僕はどれくらい弾いたのかな。7分くらいだったと思うけれど、
最後は、だから、心に耳をすまして
とてもピアニシモでシンプルな一音に辿り着いたかんじでした。
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飯島晶子さんはとてもこのピアノを理解
していらっしゃる印象を受けました。
だから朗読の伴奏をさせていただいて
いるときはときどき、僕はまったく鍵盤に触れない瞬間が
ありました。そこにはもう音が聴こえると言うか、
飯島さんの心と直結した声はそれだけで景色や感情をかもしだして
いてそんなときは、もうなにもいらなくて。僕とあのピアノとは
ただ一緒にじっとその声に耳をそばだてていたというかんじです。

ものすごくエネルギーを使いましたがいい経験をさせて頂きました。
いつかあのピアノと再会するときがあったらまた違った気持ち
で今度は更に仲良くなって楽しい曲を演奏したいなと思います。
ありがとうございました。おつかれさまでした。
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by senrio | 2010-09-16 11:01 | 宝物ファクトリー